九州アジア横断紀ならまだしも、ヒッチハイクの記録をここに書くのはおかしいとわかっていながら、暇だったので、佐賀県鳥栖市の快活CLUBでこれを書いている。クソ長いので、電車の待ち時間とか、時間がある時に読んで欲しい。

九州アジア横断紀 0日目ヒッチハイク紀行まず、ヒッチハイクをしようと思った理由から話そう。それは、「仙台から愛知までヒッチハイクで帰りました！」(ﾄﾞﾔｧ)ってやってみたかったから。それだけ。

さて、2月13日ｰヒッチハイク当日、僕は8:30に起床した。7:00に起きて朝からプラカードを掲げるはずが、社不って寝坊した。ほんとはSOMAくんとヒッチハイクする予定だったがSOMAくんは数日前から体調不良になってしまったから、まぁ社不っても誰にも迷惑をかけなくて良かった。9:00仙台駅着。9:30長町駅着。9:43に長町インターチェンジの800mくらい手前でヒッチハイクを開始した。

ちなみに、仙台からヒッチハイクをする人のほとんどは、国見SAから始めるそうだ。近くにJRの駅があって地上から歩いて入れるからだ。でもどうして僕が長町インターチェンジの前から始めたかというと、理由は2つある。ひとつは仙台市内から始めたほうがヒッチハイカーとしてカッコイイからだ。その方が、ドヤァとできる。この気持ちわかる？ 2つ目は、仙台から東京までヒッチハイクに成功したというブロガーが長町から始めていて成功した前例があったから。まぁ前例があるのはやっぱり大事。

9:42から始まったヒッチハイクだったが、やっぱり最初の車が捕まるまでは時間がかかる。予定では、12:00までここで粘ることにしていた。そこまで待って誰も乗せてくれなかったら、自力で国見SAまで行こうと。しかし、当日の仙台東部は暴風雪警報が出されていて、長町はまぁほとんど吹雪だった。始めて10分で、「国見SA」とデカデカと書かれたノートは、紙が濡れ、それが暴風でくっつき、離れなくなり、そして字も滲んでいった。たぶん雪のせいだけど、僕の視界も段々と滲んできた。吹雪の中、ひたすら通る車に無視され続けるのは、かなり辛かった。これは持たないかもな…と思った。長い時間に感じたが、10:30ごろ(なんとはじめてから1時間経っていなかった)あるトラックが止まった。そしてクラクションを鳴らした。

ドアを開けると、優しそうな運ちゃん(たぶん40代後半くらい)がいた。運ちゃんは国見方面まで行くから、乗せてってあげるよ！と笑顔で言った。マジで神か仏に見えた。さっそく運ちゃんは助手席を掃除し始めた。

「あんまり助手席に人乗せることないからさ、汚いんだよね笑ごめんねぇ！」運ちゃんは言った。全然いいんです。僕みたいなゴキブリをホイホイ乗せてくれてほんとに感謝してます。心の中で思った。

運ちゃん「ヒッチハイクかぁ。若いねぇ。ほんとに国見まででいいの？」

ぼく「えっ、それ以降も乗せて頂けるんですか？」

運ちゃん「うん！いいよぉ。宇都宮までの仕事だから、そうだなぁ、那須塩原あたりでおろせばいいかな？」

ぼく「まじですか！ありがとうございます！」

運ちゃん「そういやぁ、こんな吹雪の中でヒッチハイクなんてしてたの？あんま冬にやるもんじゃないと思うけど笑」

ぼく「はい！愛知県までいきます！」

運ちゃん「」

この運ちゃんは、家族の話をよくしてくれた。運ちゃんは子供が5人もいること。竹を切ってよく流しそうめんをしたり、BBQをすること。子供が大好きなこと。オープンな家族で、なんでも話せる親子関係のこと…

運ちゃんほど良い家族が作れる自信はないけど、かなり参考になった。そしてあっという間に那須高原SAについた。

しっかり運ちゃんにお礼を言って、いざ那須高原SAへ。この時点で12:30になっていたので、一旦腹ごしらえをする。ヒッチハイクをしてる身で贅沢をする訳にはいかないので、1番安いラーメンを啜る。

結果として、この那須高原SAが今回のヒッチハイクでイチバン時間がかかった所になった。14:30頃に次のトラック運転手のオッチャンに乗せてもらうことになるのだが、それまで1時間半くらいかかった。道路で無視されるのも辛いが、SAのトイレの前で「乗せていって貰えませんか？」と一人一人声をかけて無視されるのはもっと辛い。これがかなりメンタルにくる。途中で挫けそうになったときは、自分を那須高原SA公認挨拶キャラクター「ナスくん」だと思うことにした。僕はただトイレの前で出てきた人に「こんにちはぁ…！どちらまで、行かれますかぁ…？」と声をかける妖精なのだ。そう思うようにした。ヒッチハイクでは、挫けずに声を出し続けることがなにより大事なのだ。

そんなこんなで、さっきも言った通り14:30にオッチャンに出会い、乗せてくれる事になった。オッチャンは、昔ながらのトラック運転手といった感じだった。よく高速でバリバリにカスタムしたキラキラの大型トラック見るじゃん？あれに乗っていた。実際にあれに乗ってみた感想だが、意外と乗り心地はよかった。オッチャンは兵庫は加古川の人らしく、かなーりコテコテの関西弁を喋っていた。愛知まで行くんですと僕が言ったら、オッチャンは海老名の少し手前のSAまで乗せていってやるよと言ってくれた。首都圏で名古屋方面にどう切替えるかが今回のヒッチハイク旅の1番の課題であり、仙台から愛知までヒッチハイクをする人がほぼ居ない原因でもあるので、これはかなり有難いサプライズだった。オッチャンは波乱万丈の人生を歩んで来た人で、かなり興味深い言葉をいくつか授けてくれたので、ここで紹介しておく。

「昔なぁ、連帯保証人になって数千万の借金おったことがあるんや。兄ちゃん、金の切れ目は縁の切れ目。友達でも絶対に連帯保証人になったらアカンでぇ」

「兄ちゃん、賭博はやったらアカンでぇ…」

「兄ちゃん、佐川急便にだけは入ったらアカンでぇ。毎日3時間しか睡眠できんのや。それで月の休日は何日やと思う？3日や。」

「結局、人生はどーやっても悔いだらけなもんや。」

オッチャンは色んな人生の知識を僕に授けてくれた。こーゆー人は周りにいた事が無かったので、ある意味カルチャーショックも受けた。オッチャンは結局、静岡の足柄SAまで乗せてくれることになった。静岡付近になると、夕日に映える富士山が非常に綺麗だった。

見る度に　気色（けしき）ぞ　かはる富士の山はじめて向かう　心地こそすれ

(伊達陸奥守政宗)

夕日の富士山は初めて観たが、仙台からヒッチハイクを始め、ようやっと見えた富士山というのも、僕に格別の感動を覚えさせた。

足柄SAに着き、これまで全長およそ281kmの距離を乗せてくれたオッチャンにお礼を言ってトラックを跡にする。ちなみに、オッチャンは途中にコーヒーとポテチも買ってくれた。連帯保証人になって苦労して、人間不信になってもおかしくないはずなのに、それでも人に施し、心遣いを忘れないオッチャンは人間としてカッコイイと思った。

足柄SAについてすぐ、なんかレーサーみたいな服装をした人が買い物をしていた。アクティブな人は車に乗せてくれやすいし、なにより面白そうなので声をかけてみると、本当にレーシングドライバーだった。TOYOTA GAZOO Racingのレーサーであり、トラックにはレーシングカーが乗せてあった。タイ初の日本人レーサーの方らしく（個人の特定はやめてね）、レーシングカーの中も見してくれた。年の半分はタイにいるらしく、それを聞いた瞬間に3月にタイで会いたいことを伝えると承諾してくれた。

レーサーさんからは規格外のことを沢山教えてもらった。マクラーレンよりもポルシェの方が乗り心地がいいこと。衣食住に関連した事業は不景気でも潰れない強い事業であるので、是非オススメであること(レーサーさんは不動産会社の社長もやっている) 。日本人の生涯収入は数億円と言われるが、君(ぼく)は数十億、数百億を目指すべきであるということ… いつかマクラーレンとポルシェの違いがわかるようになるんだろうか…？？ちなみにこんな1幕もあった。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾌﾟﾙﾙﾙﾌﾟﾙﾙﾙ…！

レーサー「ごめん、電話でていい？」

ぼく「もちろんです。どーぞ」

？？？「来年の目標なんですが、ｰｰｰｰｰｰでいこうと思ってるんです。どう思いますか？」

レーサー「ｰｰｰｰｰｰですか、EVと中国車が-------」

？？？「はい、そうなんですよね。----------。」

･･･

レーサー「はい。それでいきましょうか！」

pu-pu-pu-

ぼく「なに話してたんですか？」

レーサー「いまね、トヨタ自動車の来年度タイ事業での販売目標台数が決まったんだよ。」

ぼく「」

世の中、意外とそこらへんに規格外の人はいるもんだなぁと思った。「最低でもトリリンガル」「有言実行の精神」「億で満足するな」と3つの格言を頂いたので、とりあえず𝘋𝘶𝘰𝘭𝘪𝘯𝘨𝘰でも入れてみた。まぁまだなにもやれてないけど() そんなこんなで岡崎SAに到着。タイで会いましょう！と握手を交わして、記念写真を撮ってレーサーの方とは別れた。19:43頃だった。長町でヒッチハイクを始めて、ちょうど10時間で岡崎についた計算になる。ちなみに長町インターチェンジから岡崎SAまではGoogleマップで7時間半くらいなので、休憩も入れたらほぼ理論値で来れたことになる。東京で1泊する前提だったが、運良く当日中に到着することが出来た。

乗せてくれた3人の方も、言い方は悪いが、上流･中流･下流の生活レベルにクッキリと別れており、話していて世界観が非常に広がった。大学内のコミュニティだけでなく、広い世界を認知できるのがヒッチハイクの魅力であるとも思う。

これでヒッチハイク記録は終わりだ。かなーり長くなってしまったし、まだまだここに書ききれない出来事が沢山あったが、これくらいにしたいと思う。九州旅行とは関係のない内容だけど、ノリで書いてしまったので、投稿しておく。ここまで読んでくれた人はいないと思うが、もし読んでくれたならありがとう。そんな奴とはいつか一緒にヒッチハイクしたい。よろしく。

文責荒木

旅行記録